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■エッセイ「月と共に」 (長崎新聞2003年4月25日付「うず潮」掲載
                         



読みづらいので下にテキストを掲載しました

「月と共に」  ヤマサキユズル

 これまで誰にも話したことがないのですが、自分でもどうしようもなく困ったときに思わず月や星に向かって強く願いを込めます。「自分がこの世で生き続ける存在であるのならばどうか助けて欲しい」するとこれまでに幾度か切り抜けることができました。月や星の持つエナジーが同じく宇宙から生まれた人間にも内在していると感じるのです。

 昨年の12月、長崎市内に民家の個人美術館を月の美術館と名付けて開館しました。家は探し回ったのではなく偶然のお話しでした。もうひとつの偶然は自分のホームページに夢を綴りました。「作品を飾る月の美術館をつくりたい。そこは絵を観るだけではなく、いろんな人がやって来てゆっくりと自分を見つめたり、会話を楽しんだりできる場にしたい。」そんな内容でした。そんな夢が一ヶ月もたたない間に実現することになりました。月は何も言わずにただ静かに見つめています。心の奥底まで照らし出す優しい光です。夢を語ったときそのチャンスを見逃さないように照らしてくれました。不思議な光に包まれるように毎日が素敵な出会いに満ちています。

 月を観るとき、心の月と共鳴するのだと思っています。人の心は小さな宇宙のようです。心に浮かぶ月は欠けたり満ちたりしますが決して人には見せない裏側もあります。実際の月と同じです。心の月世界を描いている自分にとって作品は心の鏡になっています。

最近の私のキーワードはencounter=巡り会いです。月に出会ったのも、絵を描くときの素材との出会いも、ネットを通じた友人との出会いも、月の美術館との出会いも、それから月の美術館に来られた方との出会いもすべてが素敵なのです。出会いによって心が動き少しずつ新しい自分に生まれ変わる気がします。心が動くのは生きているからで、心が動かなくなったら死を迎えたのと同じだと思うのです。月を見ていつまでも心を動かされるように生きていたいと思います。  
(月の美術館・館長)

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