■エッセイ8…長崎新聞2003年11月8日付「うず潮」掲載

「月光について」 ヤマサキユズル 今年鬼束ちひろの「月光」がヒットしました。「月光」といえばベートーベンの曲もあります。また菅原都々子が歌った「月がとっても青いから」は昭和30年に空前の大ヒットをしました。つい口ずさんでしまう曲の一つです。 好きな曲にサラ・ヴォーンやアストラッド・ジルベルトなどが歌った「FLY ME TO THE MOON」があります。レベッカの「MOON」やエレファント・カシマシの「今宵の月のように」も大好きです。ビートルズの「ミスター・ムーンライト」、グレン・ミラー楽団の名曲「ムーンライト・セレナーデ」もいいですね。 近頃の曲にも、あなたへの月(Cocco)・月に祈る(GLAY)・黄金の月(スガシカオ)・今夜月の見える丘に(B'z)・月に負け犬(椎名林檎)・月の歌(THE YELLOW MONKEY)などなど…きっと曲目だけでも書ききれないほどの月にちなんだ曲が存在するのでしょう。このように月が愛されるのは直視できない太陽と違って、孤独な心に静かに降り注ぐ月光のせいかもしれません。 月が青いと感じるのはなぜでしょう?また昇って来る満月が赤く見えるのはなぜでしょう?月の美術館でも赤い月については時々話題になります。月に限らず朝日や夕日も赤く見えますね。これは天頂方向に比べてより多くの大気の層を通過する間に青い光の成分が失われてしまうからだそうです。青く感じるのは月のように弱い光では赤い色に対して感度が低くなる網膜など肉眼の構造にも関係していると言われています。 先月の十三夜の名月に関して、なぜ満月ではなくその前の十三夜の月なの?という質問をいただきました。「花はさかりに月は隈なきをのみ見るものかは」(徒然草・第137)我が国では完成された姿よりも未完の状態で完成される姿を想像することの方が趣のあることとされたようです。過去も現在も漆黒の闇にあって月光は未来を照らしだす存在に違いありません。(「月の美術館」館長) |