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■エッセイ7…長崎新聞2003年10月9日付「うず潮」掲載
                   
                             



「月の力の不思議」 ヤマサキユズル


 もし月がなかったら地球上に生命が生まれることがなかったかもしれない。約40億年前の月の引力はとてつもなく大きく、潮の干満の差は50m以上あったといわれます。地球の地軸が23.5°傾き、東から西へ規則正しく自転しているのも月があったからで、そうでなかったら地球上の天候や気温は生命の誕生を許さない状態だったと考えられます。
 40億年前の月は現在の20倍の大きさで見えていたなんて、考えるだけでゾクゾクしてしまいます。しかし我々人類は月がどこからやって来たのか?という問いかけに、いくつかの可能性を述べるだけでまだ明確には答えることができません。
 月の美術館に関しても月の引力が働いているようです。月が好きだという人が次々と訪れます。先日も横浜にお住まいのIさんご夫妻がたまたま目に入った雑誌に載っていたからと来られました。「神秘的な月が好きなんです」と言われてました。
 月の美術館を訪れた方との出会いから展覧会の開催が決まることもあります。11月には、とあるクリニックのギャラリーで個展をさせていただくことになりました。先月のエッセイに月琴の事を書きましたが、ありがたいことにメールやお便りを頂いたり月琴の演奏会の情報なども頂きました。次々と繋がってくる人や出来事に月の力の不思議を感じてしまいます。
 珊瑚やクサフグは満月か新月の日に産卵し、アオウミガメは満月の日に産卵します。カタツムリは満月の日はなぜか東に向かって進むらしい。御所柿(平たい形の柿の一種)は満月の時は渋くて食べられないのに新月には甘くなるそうです。
 人間の脳に関する情報ですが、普段右耳から入ってきた情報を左脳に伝え、左耳から入ってきた情報を右脳に伝えている交換器官が満月の日にはなぜか逆に伝えてしまうらしいのです。
 竹取物語や源氏物語では月を眺めてはいけないという風な記述があります。昔の人は月の力を現代人よりも強く感じていたようです。
(「月の美術館」館長)

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