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■エッセイ22…2005年1月4日付長崎新聞「うず潮」掲載
                   
                             


「月と水と浄化」  ヤマサキユズル
かぐや姫の形見だった不死の薬と天の羽衣を帝は月に一番近い場所(不死の山)で焼かせてしまいます。その山がやがて富士山と呼ばれるようになったそうです。月の満ち欠けは昔から不死や輪廻転生や子孫繁栄をイメージしていました。各国の伝説にも月に住むという生き物には多産の生き物であるウサギやカエル、不死のイメージである蛇が出てきたり、不老不死の水が関係することが多いようです。

沖縄の民話に出てくる月に住む童子アカナーは人間には巣出水(しじみず)という不老長寿の水を、蛇には死水を与えるように命じられ、ちょっと一休みのスキに蛇に巣出水を浴びられてしかたなく人間に死水を浴びせて帰ります。月は怒り、永遠に立っているように命じます。月に見える影は、今でも桶を担いで立っているアカナーの姿だそうです。こうして人は死ぬ運命になり、蛇は脱皮して蘇るようになったそうです。

万葉集に「月読の持てる変若水いい取り来て君に奉りて変若得しむも」と詠まれている月読は月の神様、変若水(おちみず)は若返りの水のことです。あなたに差し上げて若返らせたいといっています。また旧暦九月九日重陽の節句に用いられた「着せ綿」の風習は「源氏物語」「紫式部日記」「枕草子」にも出てきます。前夜に菊の花に真綿を被せて、月の光に照らし菊の香と朝露を吸わせた絹の綿で身体を拭うと老いが取れるといわれて女房の間で盛んに行われていました。
水には物の汚れを落としたり、お風呂や温泉には心身の疲れも落とす浄化力があります。またキリスト教の聖水や神社の入り口にある水、川や海辺での禊、滝に打たれる修行など魂の罪や汚れを落とし、これまでの自分を洗い清め生まれ変われる力も秘めているようです。

満月水というのがあります。満月の光に一晩照らした水は月の持つエナジーを吸収して生命力が高まりストレスによいといわれています。効果の程は試してみるしかありません。
(「月の美術館」館長、長崎市)

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