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■エッセイ31…2005年10月2日付長崎新聞「うず潮」掲載
                   
                             


「月と絵と音楽と」  ヤマサキユズル

 月さんが月の美術館にいらっしゃいました。苗字が月一文字の方は初めてでした。月抱龍さんは国見にある光専寺のご住職で、400年前のご先祖が月を見て「気」を受け取り、戦に勝ったことから月の苗字をつけられたそうです。

 ボクも国見の光専寺に伺い貴重な古文書も拝見させていただきました。お寺に伝わる古文書では深夜の月にかかる雲の様子(気)を見て戦の勝ち負けを占うという月占いを月軍気として彩色図解入りで記されています。仏教とは無関係だそうですが月と雲という珍しい月占いです。
 さらに月さんのご先祖には月雪香(つきせっこう1767-1845年)という絵師がいらっしゃいます。雪香については評伝「謎の画人月雪香」長崎出島文庫があります。
 
月が大好きなリュート奏者永田斉子さんが月の美術館にいらっしゃいました。中近東が起源のウードという楽器が西方に伝わってリュートになり、東方に伝わって琵琶になります。
 リュートは古楽の演奏で使われるマンドリンのような胴をした11〜13弦もある弦楽器でギターよりもやわらかく繊細な音を奏でます。弦は羊の腸でできたガット弦を使います。ガットはガッツ!(内臓の意)からきているそうです。
 デューラー、ルーベンス、フェルメール、カラヴァッジョなど15〜18世紀の多くの画家たちの絵にもリュートが登場しています。

 永田さんは佐世保出身で月琴の研究者でもあり生前の中村キラさん(月琴奏者長崎市無形文化財指定)にもお会いになっているそうです。月琴は琵琶の仲間なのでリュートと月琴のルーツは同じということになります。永田さんは9月にCDも発売されています。リュートと月琴の合奏を聴いてみたいという夢も生まれました。
こんな風に月の美術館での素敵な出会いはまだまだ尽きることがないようです。

 最後に7月分の訂正です。明清楽では二胡ではなくてさらに古い胡琴(こきん)という楽器を使いますとのご指摘をいただきました。(「月の美術館」館長、長崎市)

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