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■エッセイ17…長崎新聞2004年8月1日付「うず潮」掲載
                   
                             


「月と心の教育」  ヤマサキユズル
 県下では痛ましい事件が続き、改めて心の教育が叫ばれています。そんな中、7月初めに「スケッチの町」崎戸町の崎戸中学校で「月・生命」絵画展を開催していただき、併せて会期中に講話の機会までつくっていただきました。
月のこと、月の絵のこと、心の月のことなど約1時間、生徒たちと保護者の方々を前にお話をさせていただきました。熱心に耳を傾ける子供たちの姿に、教育現場を離れ久しぶりの学校の空気が懐かしい気持ちになりました。学校全体を美術館にという先生方の想いが校舎の隅々にまで感じられ、言葉だけの心の教育への取り組みではないことが伝わってきました。講話も幸いに好評だったようで安心しました。こんな機会に恵まれたのも月を描いているからなのだとお月様に感謝しました。
昨今の事件を思うたびに心が痛みます。なぜ人間が暴力的になったり凶暴な事件を起こしたりするのだろうかという疑問も感じます。
バイオタイド理論で有名なA.L.リーバー博士は著著「月の魔力」で、ストレスと月の関係について、満月や新月の時期にはストレスのあるネズミや人間は心拍が強まると書いています。
心拍を強める化学物質が血液中に存在し、月光によって化学物質が増える人と消失する人がいるそうです。月の光で暴力的になったり、感情の高ぶる場面で冷静さを失ったり、あるいは癒されたりと対極的な反応の原因はストレスのあるなしなのだと結論付けています。
ストレスを感じる環境では知らない間に周りにもストレスを発散しています。現代社会はストレスの伝播サイクルになっているような気がします。金満主義的で自分さえよければという生き方、人間の欲望には限りがないのも事実ですが、凶悪な事件が起きるたびに月のリズムでゆっくりと生きることの大切さを教えてくれるシグナルのように感じます。月と同じように人も誰かのお陰で輝く存在だということを忘れてはいけないと思います。(「月の美術館」館長、長崎市)

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