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■エッセイ15…長崎新聞2004年6月3日付「うず潮」掲載
                   
                             


「月の大きさ」  山ア 讓
 地平線に近い月は、頭上に浮かぶ月より大きく見えませんか?月の美術館の定連さんから頂いた資料に遠近感の錯覚による「月の錯誤」のことが書いてありました。月の大きさは同じですが「月の錯視」ともいわれ2000年もの昔から有名な問題なのだそうです。
 イギリスのR・スミスは、無限の天空が丸天井に見えるが比べるものがない天頂部分は近くに見えるという「天空偏平説」、イギリスのE・G・ボーリングは視線の方向を変えることによって大きさが違うという「眼球運動に伴う視線説」、アラビアのアルハーゼンやL・カウフマンは何もない天空より地上の物体と比べるときの方が大きく感じるという「地上物体説」などを唱えました。このように心理学、生理学、物理学それぞれの学者がいろいろな説を出していますがまだはっきりとした原因はわからないそうです。
 こうした錯覚だけでなく実際に月は大きく見えたり小さく見えたりしているそうです。月は地球の周りを約29.5日で一周しますが、月の軌道は正確な円軌道ではないため月と地球の距離は常に変動しています。月と地球の距離は近いときは35万6400km、遠いときは40万6700kmと、およそ5万kmも差があることになります。その分大きさも違って見える訳ですね。
 月の大きさを1として惑星と比べてみましょう。水星は1.4、金星3.5、火星2.0、木星41.1、土星34.7、天王星14.7、海王星14.2、冥王星0.7、太陽400.5となります。月二個分が火星、月4個分が地球、なんと冥王星は月よりも小さく、太陽は月の400倍もあります。しかし地球から見ると月と太陽の見かけの大きさが同じなので皆既日食が見られることになります。
 5円玉を持った手をまっすぐ伸ばして見ると月も太陽も5円玉の穴にすっぽりと収まります。ちなみに5円玉の穴の大きさは5ミリです。お月様が5ミリとはビックリ!
(「月の美術館」館長、長崎市)

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