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■エッセイ10…長崎新聞2004年1月11日付「うず潮」掲載
                   
                             


「月明かりの神秘」  ヤマサキユズル

 夜は月明かりしかなかった時代がはるかに長い。人類が誕生して、焚き火−たいまつ−ランプ−ろうそく−ガス灯−そして電灯の順です。わが国では横浜にガス灯が設置されたのが1872年、長崎市内に初めて電灯がついたのはは1893年(明治26年)頃です。それまではちょうちんやあんどんが頼りだったのですから、それまでの生活の中でいかに月の存在が大きかったかが想像できるでしょう。
 月は意外に暗い星で、表面の玄武岩といわれる褐色の岩や多くの成分であるチタンにより、受けている光の7%しか反射してないそうです。それに比べ地球は大気中の雲により月の80倍も明るく、もし月に大気があれば30〜60%の反射率になり夜空の星がかすんで見えなくなっていたことでしょう。そう考えると現在のお月様は実にほどよい明るさだと思います。
 そんな月と人間の身体との関係には深いものがあるようです。人が持つ体内時計の周期が近年になって月の周期である24,8時間と同じであることが分かってきました。ただ実生活では24時間のリズムにあわせることになり、朝日による光覚醒によって体内時計は強制的にリセットされているそうです。月の暦で生活することはより自然なリズムを取り戻すことになると考えるのはこんな理由からなのですね。
 欠けていく月には解毒、洗浄、発汗、乾燥、固定等の作用などがあり手術や治療はこの時期が成功率も高く、回復期間も短いそうです。新月の時は何か新しいことを始めるのには適していて、例えば禁酒禁煙のスタートなどに向いているといわれます。満ちていく月には補給、摂取など身体が色々なものを吸収してエネルギーを蓄えるほか保護と休養を促すのだそうです。この時期は同じ物を食べても太りやすく、むくみも起こりやすいといわれます。ダイエットを考えている人は満月からスタートすると効果的だそうです。月明かりはまさに神秘の光ですね。(「月の美術館」館長、長崎市)

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